私、ヨルゴス・グーティスの生まれた国、ギリシャ。

そこでは今も、樹齢数千年という、プラトンの聖なるオリーブの木を目にすることができます。たとえ今や博物館の展示品になってしまったとしても。

ギリシャのノーベル賞詩人、オディッセアス・エリティスは書き記しました。

「もしギリシャを解体したら、最後に残るのはオリーブの木とぶどう畑と船だ。つまり、その三つがあればギリシャは創り直せる」と。

ギリシャの軍神アテナは、古代の都市国家アテーナイを手に入れるために、恐ろしい武器や、刀も楯も、投げ槍すら持ち出すことはありませんでした。代わりに女神が市民に贈ったのは、ただ一本のオリーブの木でした。そして、オリーブの木を栽培する知恵を授けたのです。

かつてのギリシャでは、オリンピアンたちは勝利の証として、金ではなくオリーブの冠を拝受していました。それが、私の母国、ギリシャなのです。

こうしたギリシャの歴史や神話は、いつも私の身近にありました。そして秋が訪れるたび、オリーブ農園には神の恵みを受けた果実を収穫する人々の楽しげな声が響き渡ります。その光景は、私の心から消えることはありません。

私は長年、ギリシャから遠く離れて暮らし、世界中を旅してきました。オリーブオイルがどういうものかすら知られていない国でも働いてきました。その、多くを学んだ旅から帰ることになったとき、私は協力してくれる仲間たちとともに母国のために働く決心をしたのです。

オリーブオイルに造詣が深く、こだわりを持っていらっしゃる愛好家の方々のご要望を満たし、時代の移り変わりに踊らされることのない、最高品質の製品を世に送り出すために。
ある日、幼い頃の思い出を巡らせつつ、古くから我が家が所有する、手入れの行き届いたオリーブ農園を歩き回りました。そして感じたのです。いったい何世代に渡ってこの地が守られてきたのだろう。この伝統を途絶えさせてはならないと。

新たな経験を望んだわけではありません。経験ならば、かつての旅でもう充分手にしていました。思い出したのは、海辺のオリーブの木の香りや夕暮れ時の海の香りをたたえたオリーブの実の香り。このオリーブだからこそ、他の地では決して見つけることのできないオリーブオイルがもたらされるのだ、と気づいたのです。

目に浮かんだのは、山の裾野に広がるオリーブ畑に立ち込める朝霧の風景。朝霧はオリーブに滋養あふれる実りとフルーツのような味わいを残し、早朝の風と陽光とともに消え去ってしまいます。

幼い頃には誰もが、土の上をはだしで駆け回り、また土に水を加えて粘土にし、自分の初めての作品として、オイル入れの器を作ったりしたものです。その土はまさに、地中海のランドスケープの中でも、火山性土壌だけがもたらす微量元素や豊かな特性がふんだんに詰め込まれ、何世紀もの歳月をかけてできあがった土なのです。

また、村の最も貧しい家々に灯るオリーブランプのほのかな明かりも、懐かしい夜の記憶です。

しかし何より印象深くよみがえるのは、実の圧搾作業をするオリーブ小屋のこと。時の流れに磨かれた伝統的な石臼を使っているため、オリーブオイルは他とは比べようのない味わいと品質を生んでいました。そして小屋の片隅では、いつもパンを焼くための石窯に火が入れられていたのです。石臼で絞ったばかりのオリーブオイルとオレガノをたっぷりとかけた焼き立てのパンの味は、ミシュランの星を幾つもらっても賞賛するのに十分とはいえないでしょう。

あふれる陽光と独自の土と清々しい空気を浴びて実を結んだ、愛すべきオリーブの実の素晴らしさは、とても言い尽くせません。私たちの農園では敬意を持って伝統的手法を踏襲し、さらに最新技術と組み合わせながらオリーブの果実を収穫しています。品質検査においても、農科学研究に十分裏打ちされた条件のもと、すべて手作業で均質化を進めています。

こうした取り組みの結果として、極めて酸度が低く、フェノール類であるオレオカンタールやオレアセインを多く含有することを特徴とする、オリーブオイルエキスが得られます。このエキスに含まれる成分はいずれも、体内の組織を活性化し深刻な疾患から体内組織を守る可能性があることが、科学的分析によりに明らかにされています。

豊かな水をたたえる水路に囲まれて生い茂るオリーブ林の中を歩きながら、今までお話ししたようなことを考えて、もう幾年にもなります。

何ものにも代えがたい私の仲間である、グリゴリス、マノス、ディミトリス、アンゲリキ、フリストス、マノリス、ソフィアも、この素晴らしく実り多い事業に協力してくれています。いつぞや全員で山の高台に上り、オリンピアを遠くから眺めたことがありました。そこは、オリンピックの勝者たちが何千年も前に「月桂冠」、つまりオリーブで作られた冠のために競技を戦った場所でもあります。

私の村は「カリセア(美しき眺め)」と呼ばれています。その名の由来はまさに、この素晴らしい眺めにあります。そして、はるか以前の祖先から受け継がれてきたオリーブの樹々は、今も変わることなく、この祝福された土地に恵みを与え続けています。

この恵みのエキスこそ、私と仲間たちが、皆さまにお届けしようとしているものなのです。

私たちは常に、専門研究を重ねた研究者や、農園従事者たちと協力しあっています。情熱と科学的知見のすべてを注ぎこみながら。ギリシャの片隅にあるこの土地特有の条件を分析しつつ。

そしてもちろん、稀少な恵みのエキスであり、数少ない極めて優れた品質の製品を皆さまのもとにお届けするために。

ヨルゴス・グーティス 2017年1月